2017年9月23日土曜日

身体が疲れるようになった

9日間の入院を経て、会社に行くようになった。

起きた変化はというと、以前よりも身体がどっと疲れるようになった。退院直後は周囲の気遣いもあり、17時を過ぎるとすぐに帰らしてもらった。ただ段々身体を慣らしているつもりでも、残業は19時までが限界になっている。頭が働かなくなってしまう。

帰り道のコンビニで晩御飯を買い、家に帰ってレンジで温めて食べ、そのままぐったりベッドに横になったまま気づくと眠っている。翌日も気分が晴れないまま目覚める。入院前に比べると、体力が全く無くなってしまったように感じる。

高校生の時にも、同じようなことがあった。
高校1年生、15歳の私は、部活で毎日ランニングをしていた。長距離を走るのは得意な方だった。だからランニングでは集団の先頭にいることが多かった。
高校に入学して半年たった秋に、アメリカにホームステイした。1か月、現地の高校に通い、現地の食事を食べる。運動は全くしなかったが、1か月だけなのだから何も変わらないと思っていた。

帰国して、また部活でランニングして、愕然とした。すぐに疲れ、身体は重く、足は進まない。私はのろのろと最後尾を走ることとなった。それでも自分は必死だった。結局私は高3で部活を引退するまで、ランニングは最後尾だった。最後まで、元の速さを取り戻せなかった。

体力とは、下っていくエスカレーターに乗り続けているようなものだ。そう言ったのは弟が入団していた野球チームの監督らしいが、その通りだと思う。鍛え続けていれば、現状をキープできる。何もしなければ、ずるずる下がっていく。また鍛え始めても、前と同じトレーニングでは、下がった位置をキープし続けるのとは変わらない。前の位置を取り戻すには、前の何倍ものトレーニングをしなければいけないのだ。

体力だけでなく、最近、できなくなる自分に直面する機会が何度かある。身体の柔軟性も、ピアノ、勉強の集中力も、長い文章を書くことも。自分はできたはずなのに、という記憶だけがむなしい。

来年の2月が来ると27歳になる。まだまだ若さの盛りであると思う。だけどもう、何でもできるわけではない。できなくなっていくことは、確実に増えていく。

だからこそ自分が人生の中でどうしてもやりたいこと、やらなければいけないことは慎重に選び取っていかなければいけないのだと思う。

2017年9月13日水曜日

扁桃腺手術日記3

9月5日
朝ごはん。わかめの味噌汁、人参とキャベツを煮て片栗粉でとろみをつけたやつ、ベーコンと豆腐の煮物、五分粥、紙パックの牛乳。牛乳をズボンに激しくこぼす。今日はスウェットじゃなく普通の綿のズボンを穿いたのに…

昨晩は22時から7時まで9時間ぐっすり眠った。こんなに寝ていて来週から社会復帰できるのだろうか。今日は会社に合わせて9~12時、13~17時はベッドで横にならずに勉強したり本を読んで過ごそうと思う。

喉痛いです。もうだめだ。

昼ごはん。人参とじゃがいもとキャベツのスープ、白身魚を煮たやつ、椎茸と豆腐の味噌汁、そうめん、プリン。量が多くてプリンは持ち帰った。摂取カロリーに対して消費カロリーが圧倒的に少ないのだろう。

病室のベッドは寝るところで、テーブルがあっても勉強する気にならない。やっぱり人がいる食堂にいないといけない。入院してから漫画も本いっぱい読んだが飽きてきた。この頃は漫画を読んでいると不安と焦りに襲われる。今日も食堂の窓からオフィスで働く人たちをぼんやり見ていた。

痛いのは喉だけ。あとは圧倒的に健康だ。頭も冴えているし眠気もない。時間をどぶに捨てているような気がして焦るのはなぜ。さっきNTTから電話がかかってきてそれはただの営業の電話だったのだけど誰かと話せて嬉しかった。家族や彼とは違う、他人と話す嬉しさだった。

ー記録終わりー

9月6日、9月7日は勉強したりしながら過ごし、9月8日朝9時に無事退院した。
その後、痛み止めの薬を飲み続けているが喉は徐々に良くなっている。

2017年9月12日火曜日

扁桃腺手術日記2

9月3日
22時に痛み止めを飲んで寝る予定が21時に眠ってしまい、朝の4時に喉の痛みで目が覚めた。寝ている間、無意識に奥歯を噛み締めているようで歯がどんよりと重かった。

母が昨晩、出張ついでに病院に寄ってくれた。喉を温めるストールを持ってきてほしいとお願いすると、ROPEでスカーフを買ってきてくれた。可愛かったかららしい。思てたんと違うが嬉しい。退院したら会社にしていこう。

スカーフを持つのが初めてのためスカーフのコーディネートばかり調べている。これからの季節にちょうど良さそう。ファッションにポリシーがありそうな人に見える。喉を温めるという口実で色々集めたくなった。

帽子もだけど、「日焼け防止のためですから」と自分に言い分けしないと気恥ずかしくて被れない。スカーフなんてもっと取り入れにくい。だから喉を温めるっていう言い訳ができてよかった。ただの自意識過剰だとは思うけれど。

弟は古着屋で安物の服を買ってるらしいがモスグリーンのハットやロシア帽を被ったりブーツを履いたり幾何学的模様のシャツを着たりファッションにおける勇気があってそこは少し羨ましい。私はそこそこ服にお金をかけているはずなのにあんまりお洒落になれなくてそれはやっぱり勇気の違いなんだと思う。

朝ごはん。3分粥、具無し味噌汁、みじん切りの人参・玉葱・じゃがいもが入ったクリームシチュー、ミカンゼリー、紙パックのミルクティー。液体は痛いが飲めるようになった。でも具を飲み込むのは非常に痛い。喉をザクザク傷つけている気がする。結局シチューは半分以上残してしまった。

昼ごはん。柔らかく煮た白身魚、そうめん、菜っ葉入りの味噌汁、温泉卵、牛乳プリン。昼食30分前に痛み止めを飲んだから時間はかかったが残さず完食。白身魚を噛んだときのじわっとにじみ出る出汁の美味しさに「美味い!」と叫びたかった。声出ないけど。

9月4日
入院4日目朝。薬を水で飲んだら喉が焼けるように痛い。看護師さんによると喉のかさぶたはだいぶ薄くなっているのでそのせいでしみるそう。何もやる気が起きない。ぼんやりしている。

朝ごはん。人参の炒めたの、わかめの味噌汁、スクランブルエッグ、五分粥、紙パックの牛乳。喉が痛くて痛くて腹が立ってくる。食堂から見えるビルにはオフィスで働いている人たちがいて月曜日だなと思う。どうか自分がやり残してきた仕事で何もトラブルが起きてませんように。

仕事、自分がいなくても誰かがやってくれるんだろうけど、迷惑だけはかけたくないなと思う。思ったところで何もできないのだけれど。

食事が食べられなくて常に空腹感。youtubeで高橋真麻がフジテレビの食堂で食べまくる動画を見ている。人がいっぱいご飯を食べる映像を見たいが大食いの動画はグロテスクに感じて食べ物も美味しそうに見えないから好きじゃない。高橋真麻のは食べ物も美味しそう、かついっぱい食べるので良い。

昼食。白身魚を煮たやつ、人参と玉葱のスープ、わかめの味噌汁、五分粥、ブドウゼリー。全然動いてないからか胃もたれした。ゼリーは食べきれず持って帰ってきた。

ベッドのシーツ交換のため一時的に食堂に行った。ベランダに出るとひんやりとした風に秋を感じた。働いている人達がいるオフィスが見える。世の中からぽつんと取り残された気分になった。

身体が元気だ。持ってきた資格の勉強をしようと思うが、テキストを開いた瞬間やる気が無くなる。ベランダで涼しい風に当たりに行きたいがもうすぐ点滴。

思い出したが、今私は夏休みをとっている。手術と入院をしているが、今は私の夏休みなのだ。休みらしいことをしたいな。

【やりたいこと】
1位:担々麺とチャーハンを食べる。可能なら羽田空港の中華料理屋の担々麺を食べたい。あそこはチャーハンも餃子も美味しい。GWに長崎に行くときに夕飯で食べて、美味しさを知った。
2位:髪を切ってパーマをあてる。
3位:秋服を買いに行く。ネイビーのパンツとレースのタイトスカートを買いたい。
4位:資格の勉強
5位:お洒落してブルーノートにジャズを聴きに行く。
6位:もんじゃ焼きを食べる。
7位:パスポートを更新していつでも海外に行ける態勢を整える。
8位:マニキュアとペディキュアを綺麗に塗る。
9位:通勤用リュックを見に行く。
10位:鴨川シーワールドのシャチを見ながら食事ができるレストランに行く。
11位:着ない洋服をリサイクルショップに持っていく。
12位:ミスドを食べる。
13位:日記を更新する。
14位:チークブラシを新調する。
15位:黒か紺のショートブーツもしくはレースアップシューズを買う。
16位:ボルドーやワインレッドの石を使って秋用のピアスを作る。
17位:赤いペンケースを買う。
18位:秋刀魚を焼いて大根おろしと出汁醤油で食べる。
19位:部屋に花を飾る。
20位:ブラウンでクラシカルなフレームの眼鏡を買う。

さていくつできるか。遅めの夏休みを取り戻そう。

晩ごはん。水餃子、卵入り味噌汁、茶碗蒸し、五分粥、杏仁豆腐。すぐお腹いっぱいになりちょっと残す。

2017年9月11日月曜日

扁桃腺手術日記1

扁桃腺の手術をした。
入院したときから短い記録をつけていた。

8月31日
入院1日目。大学生の時に一人旅で安宿に泊まっていたときのことを思い出す。両隣に人の気配がある安心感。ここぞとばかりにパックやクリームを持ってきたので手術が終わったら綺麗にしよう。

9月1日
朝、マスクをして眠ったが乾燥していて喉がひりひりする。手術を受けられるか不安になる。じわじわと嫌な緊張感。お腹が減ったし喉も渇いた。あと2時間で手術。やることが無いからベッドの上でストレッチばかりしている。

ストレッチをすると体がかたくなっていて驚く。高校生まで習っていたバレエはどこにいったのか。180度の開脚もできない。トウシューズを履いてピルエットももちろんもうできない。できた頃の自分はもういないのだと知って、悲しかった。

従姉妹の結婚式で弾いたピアノもそうだ。2カ月近く練習したが、当日は手が震えミスタッチの連続だった。家族のフォローが余計に辛かった。別の親族からは見てる方が緊張したと言われた。かつてコンクールで準優勝したその記憶だけが自分の中にあって、でもそれは今の私ではなかった。

点滴用の部分麻酔テープを貼られた。普通のセロテープのよう。これで麻酔できるのか。まだ感覚はある。

手術前検査。舌に電流を流し味覚を調べる。舌に金属の棒を当てられじわっと鉄の味の変化があるとボタンを押す。あんまり変化がよくわからなかった。とりわけ私の舌は奥が味覚が鈍いらしい。確かに繊細な舌じゃないが、そのおかげで何でも食べられるのだ!鈍感舌でもいいのだ!

フィリピン留学中、他の日本人学生が現地の料理のお肉がくさい、米がまずいと食べなかったことがあった。私は何の匂いも感じなくて、自分はどこかおかしいのだろうかとも思いながら、毎日もりもり食べた。ぷくぷく太った。今でも、何を食べてもだいたい美味しい。

手術前の診察終了。先生がいい声。喉の手術をする人として説得力抜群。第一声が「扁桃腺大きいですねー!」なんかちょっと嬉しそうですらあった。

手術着が5才児の浴衣のよう。あと30分で手術。さらばマンセイヘントウエン!

ー手術後ー

手術台はドラマで見たそのままだった。自分で台に上がりあとはされるがまま。看護師さんたちはテキパキという音が聞こえてきそうなぐらい手際がよかった。自分の心臓のピッピッという音が部屋にいっぱいに聞こえた。深呼吸すると心音がゆっくりになった。

眠気を感じる間もなく、麻酔にかかったようだ。名前を呼ばれ麻酔から覚めると喉がひりひりと痛い。全身に鉛が乗っかったように重い。眠りたいが眠れなくて、瞼だけ閉じていた。

流動食ですら喉にしみて食べられない。すぐに咳き込んでしまう。痩せそう。これを機に痩せよう。普段の扁桃炎と同じぐらいの痛さだが、いつまで続くのか…

夜の点滴終わり。ひたすらストレッチ。その後化粧水をつけてクリームを塗って、youtubeで調べた造顔マッサージをした。顔がすっきり気持ちいい。入院中、食事もあまり食べられないし化粧もしないから肌も休められるし、ちょっと綺麗になれるんちゃうか私。

9月2日
隣の女性の「あー」という叫び声で5時に目覚める。その人は多分今日手術を受ける。うなされていたのだろう。あまりに悲痛な声に私が驚き、完全に目が覚めてしまった。喉の痛みが戻ってきた。

昨日取った自分の扁桃腺は大きくぷりぷりしたあさりのようだった。牡蠣のようでもあった。貝系。もうあさりの味噌汁も生牡蠣もカキフライも食べる気にならない。自分の扁桃腺を思い出す。写真に撮っておかなくて本当によかった。

しとしとと雨。具の無い味噌汁と水のようなおかゆ、桃の味だけついたゼリーの朝ごはんを食べるというより飲んだ。昨日に比べて咳き込まず食べられるようになった。相変わらず喉はひりひりと痛く何もやる気が起きない。冷房が効きすぎなのか私が薄着なのか部屋も食堂も寒かった。

黒部ダムの放水がテレビで生中継されている。2年前黒部ダムに放水を見に行ったときは直前に雨が降り、結局放水は無かった。ただ一面水がひたひたと貯まっていて、太陽に照らされエメラルド色にきらきら光っていたのが綺麗だった。

点滴がぎゅんぎゅん入っていく。冷たさを感じる。痺れたような感じ。この感覚は何かに似ている。辛いガムを食べた時の痺れと清涼感だ。

具無しのポタージュ、具無しの味噌汁、具無しの茶碗蒸し、くず湯、ミルクティーの昼食。30分前に痛み止めを飲んだから痛みは少しだけで食べ(飲め)た。特にポタージュは喉に膜が張る感じで全く痛みを感じなかった。昼食が終わるとまたひりつくような痛みが戻ってきてベッドで布団にくるまっている。