「生きるのが楽しくなるようなスカートが必要だ!」
美容室でシャンプーをされている最中に、ふと思いついた。
美容室でシャンプーをされている最中に、ふと思いついた。
髪をばっさり切ったあと、私はそのまま手芸洋品店に駆け込み、白地に花柄の布、洋服だったらまあ選ばないような柄の布を購入した。数年ぶりに実家のミシンをひっぱり出し、動くのを確認すると、スマホで検索した作り方を参考に、1時間ほどで初めてのスカートは完成した。
その後すっかりはまり、10連休中に5枚のスカートと1枚のクッションカバーを作った。
ミシンに向き合う時間は、とても心地よかった。リズミカルに突き刺す針を見つめ、するすると布をすべらせていく。均等な縫い目がきちんと整列して並ぶ。さっきまでぺらぺらとした布だったのが、だんだん洋服の様相をなしてくる。なんて気持ちいい瞬間だろう。
そして一番好きなのは、ゴトゴト、ゴトゴトというミシンの音だ。
そういえば、昔教科書に載っていた阿部公房の「詩人の生涯」という小説の中で、老婆が糸車を引くシーンがあった。その音が、「ユーキッタン、ユーキッタン」と表現されていた。小説の内容は薄気味悪くて好きではなかったのだが、このユーキッタン、ユーキッタンという音はきっと気持ちよくて可愛い音なんだろうなあと、やけに気に入っていた。
さて、完成した5枚のスカート。会社には着ていけるような服じゃないから、週末限定スカートとなった。休みの日には色鮮やかなスカートを履いて、風をばっさばっさ切って歩くのだ。
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