プールに行った。久しぶりに行く市民プールはいつもより人が多くて、自分のペースで泳げなくて、ゆるゆる適当に泳いだ。
私のアパートから市民プールに行く途中、同じ形の白い建物がいくつも並んだ団地の間を通る。そういえば、大学の時一人暮らしをしていたアパートの近くにも、同じような団地が並んでいた。
ちょうど去年の今頃、卒業設計について真剣に考えなければいけないのだけど全然何も考えられなくて、私は毎日異常に早起きをしていた。
毎朝5時に起きて、スウェットのまま団地があるところまで歩いて行く。そして、団地の隙間にある小さな公園で、一人でラジオ体操もどきみたいなストレッチをしていた。
やがて朝日が昇り、通勤や通学の人がぽつりぽつりと歩いていくのを見ていると、眠っている社会が動き出す瞬間に立ち会っているようで、気分がよかった。
卒業設計のことを考えていると1人孤独に沼に落ちていくような気分になったので、朝が苦手な自分が早起きをしている、という事実だけが、唯一自分を支えていたのかもしれない。
心地よく疲れたプールの帰りに、秋らしい色の小さい花束を買った。家に帰って花を瓶に飾り、お風呂に入りながら本を読んだ。
お風呂から上がって、水餃子のお鍋を作り、お刺身を食べた。お腹いっぱいになった後、ベランダでキャンプ用に椅子に座り、鈴虫の声を聞きながらノンアルコールのチューハイを飲んだ。
なんていい日曜日だったんだろう、と思った。
明日から会社で、またきっと色々失敗するんだろうし、怒られたり、あきれられたりするんだろう。だけど、命はしぶといもので、だめだだめだと思っても、こうやって健康に生かしてくれているではないか。
去年の今頃もずっと、もうだめだと思い続けていた。
お気に入りのピアスをつけて、好きな服を着て、綺麗な靴を履いて、会社に行こう。生きるために、お金を稼ごう。
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