雑誌キャンキャンを初めて買ったのは、高校1年生の時だった。雑誌は毎月セブンティーンを買っていたが、何となく違うのも読んでみようと手にとったのだった。ものすごく分厚くて、わくわくした。もちろん、雑誌の対象年齢からは大きく外れている。
だがキャンキャンを買ったのは後にも先にも、この一度だけだった。いかにも男性にモテそうな服が次から次へと載っていたのをぼんやり思い出す。
唯一はっきり覚えているのは、モデルの朝ごはんを紹介するページで、あるモデルが朝ごはんに毎日ケーキを一つ食べていると書いていたことだ。
ケーキって特別な日に食べるものじゃないのか。いいな。私も真似したい。そう思って母に、「キャンキャンのモデルは毎日朝ごはんにケーキを食べるんだって!」と言った。
母はひとこと、「そんなことしたら糖尿になるわ。」と言った。
思えばキャンキャンへのキラキラとした憧れも、その時音を立ててしゅるしゅるとしぼんでいった気がする。
なぜこんなことを思い出したかというと、明日の私の朝食は苺のショートケーキだからだ。憂鬱な月曜日をキラキラした気分で迎えるために、ケーキを食べたら何とかなるのではないかと、駅前のケーキ屋で買った。
あのキャンキャンモデルは、今でも朝食にケーキを食べているだろうか。
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