私が大好きな映画「プラダを着た悪魔」の中で、主人公アンディが、上司が自分の頑張りを認めてくれないと同僚に泣き言をいうシーンがある。
同僚であるナイジェルは、突き放す。ファッションの仕事が好きでたまらない人間がここにはたくさんいるのに、上司に認められないというだけで君は愚痴る。目を覚ませ、と言う。
これまで服に興味がなくダサい服装のままファッション誌編集部で働いていたアンディは、その日を境に急におしゃれをするようになる。ファッション編集部で働くおしゃれな人たちになじむ装いをするようになる。
彼女はきっと、ファッションブランドのことを勉強した。そして自らもハイブランドに身を包み、ファッションが好きになっていったのではないかと思う。
ファッションを無駄なものだと馬鹿にしていたアンディが、仕事に敬意を持ち始めた瞬間、すなわち世界の流行をつくる、というファッション誌の役割を真の意味で理解したのだと思う。私はこのシーンが大好きだ。
そして、久しぶりに映画を見返して、はっとさせられた。
変身前のアンディと、今、仕事でうじうじ悩んでいる自分は重なるような気がした。
彼女の仕事はファッションで、私の仕事は、建築だ。
建築のことに詳しくなればいいのか。
建築を好きになればいいのか。
彼女はおしゃれになり、ファッションブランドに詳しくなり、仕事がスマートにできるようになる。
私は建築をもっと勉強して、いろんなメーカーの商品に詳しくなって、CADが早く操作できるようになって、図面が早くかけるようになる。
目先のことばかりにとらわれて働くのがしんどいなあと勝手に思っていたけど、なんで気づかなかったんだろう。
新建築を久しぶりに買おう。学生のときみたいに、面白い建築を見に行ってスケッチしよう。建築が好きだという気持ちを呼び起こそう、と思った。
0 件のコメント:
コメントを投稿