指輪やネックレスと違って耳たぶの飾りは自分では見えないのに、私はピアスを欠かさない。うっかりつけ忘れるとその日はずっと元気が出ない。
先日、祖母の見舞いのあと新幹線で東京に戻った。祖母には申し訳ないが、病院にいると心が沈む。新幹線を降りると滋賀とは比べ物にならない人の数に、街の圧倒的な生命力を感じた。心からほっとした。
何か綺麗なものを見てから家に帰りたい。キラキラしたものに囲まれたい。洋服でも、靴でも、アクセサリーでもなんでもいい。そう思って新宿のルミネに行った。
作家の作品ばかりを集めたお店で、強烈に「欲しい!」と思うピアスを見つけた。ビオラの花を模した複雑な色合いのピアス。値段は1万1千円だった。
お店には、華やかで心が踊りそうなパステルカラーと、秋冬にぴったりなスモーキーカラーの2色が並んでいた。今買うならスモーキーカラーの方が服に会わせやすいけど、パステルカラーも春夏にぴったりで、可愛らしい。
店内をぐるぐるまわって物欲を落ち着かせようとするが、気分はどんどん高揚する。
両方買ってしまおうか。2万2千円か。ティファニーとかに比べたら安いではないか。仕事も色々あって大変だったし、朝が苦手なのに毎日早起きもよくやってると思う。買っちゃえ買っちゃえ買っちゃえ買っちゃえ。物欲はささやき続ける。
指輪やネックレスと違って、耳たぶの飾りは自分では見えない。でも顔の一番近くで、自分をきらきらと彩ってくれる。だからアクセサリーの中で一番好きだ。
それからというもの、インスタグラムでそのブランドの写真をうっとり眺めている。そのピアスをつけている自分を想像する。ずっとずっと素敵になれる気がする。
その瞬間はいつも、仕事で失敗ばかりしてしまうこととか、こめかみのニキビがずっと治らないこととか、私の素敵じゃない日常を、忘れさせてくれるのだ。
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