世の中には自分にそっくりな人が3人いるという。
本当だろうか。少なくとも私には当てはまらない。だって今までに似ていると言われた人が、軽く10人は超えているのだ。
初対面で出会った人のほぼ二人に一人が、私を誰かに似ていると言う。それはテレビに出ている人であったり、またその人の友達であったり様々だ。
「タレントの○○に似てますね」と言われることもあれば、「友達にめっちゃ似てる」とテンション高く言われたり、街を歩けば知らない人に「あれっサチコ?」と全く違う名前で呼びかけられることが一度や二度ではない。初めて入る服屋さんでは店員さんに「お客様前も来てくださいましたよね」と言われ、大学内では先生に「あー君、編入試験合格したんだね!面接したの覚えてる?」と言われる。(何を言うのだ。1年生から通っているわ。
バイト先の社員さんには、「韓国ドラマの女優が君に見えて仕方ない。話に集中できない」と言われ、フィリピンにいたときは、友達に似てると3度話しかけられた。ついに顔がアジアまで進出してしまった。(ちなみに韓国女優さんのことは韓国人の友達に話すと「全然似てないよ!うぬぼれるなこのやろー」というようなことを言われ恥ずかしかった...。)
いつも不思議なのは、私が特定の誰かの顔ではない、ということだ。 特に芸能人にたとえられるなら、上がる名前は一つ、多くても二つだと思うが、私の場合毎回違う人の名前を言われ、そして同じ人の名前は2度と上がらない。要するに、顔が定まらないのだ。
自分の顔の不安定さに一時は激しく嫌悪感を持っていたが、最近は助けられてるなと思うことが何度かあった。23歳にもなって恥ずかしいが、私は今でも初対面の人に会う時、極度に緊張する。重度の人見知りだ。ただ、今まで何とか乗り切って来られたのはこの顔によるところが大きいのではないかと思う。
「テレビに出てる○○に似てますね」とか「私の友達にとても似てます」と言ってくれる人は、なんとなくこちらに親近感を持ってくれる気がするのだ。きっと、「どこかで見たことある」というのが初対面のハードルをぐっと下げてくれるのだろう。この時ばかりはいつも、顔に感謝する。「ああ、定まらない顔でよかった」と。そして顔も見たことのない相手の友達の顔を一人で想像する。
ある時まで、似ていると言われた人の数を数えていたが、15人を超えたところでキリがないのでやめた。だって私は「どこにでもいる顔」なのだ。
そう、あなたの隣にも...。
なんだかホラーのような終わり方になってしまったが、この「よくいる顔」に産んでくれた両親の遺伝子には心から感謝している。
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