2012年11月6日火曜日

友達

友達がもうすぐ帰国します。
彼女は韓国人で、私がフィリピンに到着した一か月後に到着しました。

もちろん最初から友達になれたわけではありません。私は韓国の人に苦手意識を勝手に持っていましたし、韓国の人もきっと日本人が嫌いだろうと思っていました。けれど異国のフィリピンという土地でともに頑張る戦友のような意識が芽生え、だんだんと仲良くなりました。

彼女とはとにかくたくさん話をしました。英語が母国語ではない者同士でつたない英語ではありますが、なぜか彼女とは話題が尽きませんでした。ファーストフード店で3時間、4時間話し込んだことは何度もあります。
お互い大学生で就職のことや恋愛のこと、また韓国の徴兵制のことや北朝鮮・中国との関係、そして竹島、ドクトのことについても話しました。TPPが日本だけの問題ではないことも彼女から知りました。

私は現在21歳で彼女は22歳。国は違えども同じようなことを考え、同じような悩みを抱えて生きています。就職や結婚のことなど自分の人生のことに悩みながらも、若者として自分の国の
将来を思い心配するのはどこの国の若者も一緒なんじゃないかと思います。

つい最近彼女に言われたことがあります。
「私は日本人が嫌いだった。過去に日本人が韓国にしてきたことを憎んでいるし、当然日本人のことも憎んでいた。でも初めて日本人と出会って友達になって、私は過去の出来事は嫌うけれど日本人のことは嫌うべきではないと思った。」

これはまさしく私も同じで、彼女に出会って韓国の人に対する意識はすっかり変わりました。彼女に出会わなければ私はネットやテレビだけの情報をうのみにし、いつまでも韓国に対してわけのわからない嫌悪感を持ち続けたのでしょう。
でも今は違います。
友達のいる国を簡単に嫌いになれないし情報を疑って見るようになりました。
どこかの国で反日運動があったというニュースを見て、日本人に向けてそれを伝える意味はなんだろう、日本人がそれを見てその国に嫌悪感を持つことによって得をする人がどこかにいるんだろう、それは誰だろう、という目で見るようになりました。
私にとっては大きな変化です。

私がフィリピンに来て得たものはたくさんありますが、彼女との出会いもまた私の財産です。
フィリピンに来た当初はまさか韓国人の友人ができるなんて想像もしていませんでしたから。

また出会えることを信じて、彼女の無事の帰国を祈ります。

4 件のコメント:

  1. 帰国後、ばたばたしていたのと怠けていて、すっかりコメントすると言っていたことを実行できませんでした。すみません。

    こうした国同士の話を聞いていて、いつも思うことがあります。どうして韓国の人は”日本人”が嫌いなのか。どうして日本人は”中国人”が嫌いなのか。

    たしかに、自分も中国に行ったとき、出会った中国の人の態度で気にいらない部分はありました。だからといって、”中国人”がキライと言う発想にはなりませんでした。

    それは、中国の人にも良いやつがいるし、何人もの仲良い中国の人がいるからです。

    そういう人たちの存在を無視して、中国人がキライとは、ひとくくりにはできないなぁと、そういつも思います。


    だからこそ、国同士の良い関係づくりのために、自分たちのできることって、いろんな国の友達をたくさん作ることではないでしょうか。国のレベルでは、自分たちができることはほぼないでしょう。だからこそ、自分たちのできる範囲で、これからの国同士の良い関係のために、一人一人がその国のこと、その国のことを好きになることが、第一歩なんじゃないかと思います。

    ただ、ひとつ。
    過去に日本人のやったことを正当化するのは良くないと思うので、しっかり過去を知ることが大切だと思います。

    現実を理解した上で、自分たちのできる行動を。


    改めて、こうした問題に気づかせてくれる日記でした。

    フィリピンでも頑張ってください。
    私は今、修士論文に励んでいますので☆

    では。

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    1. としさん
      コメントありがとうございます。
      「ただ知っている国」と「友達がいる国」はすごく大きな差があるんだなと実感しました。でも彼女と仲良くなるのに6か月かかったように、国を越えて友達になるのは私にとってはすぐできる簡単なことではありませんでした。長い時間をかけて日常をともにしてやっと彼女の考え方を尊敬し、お互いの国の関係の悪い部分まで話し合えるようになりました。
      けれど時間はかかってもこれからも「友達がいる国」がたくさんできたらいいなと思っています。そうして好きな国をどんどん増やしていきたいです。

      確かに歴史は難しく、何が正しいか何が善か悪かの判断は人によっても大きく違いはっきり白黒つけられないですが、多様な価値観の中でも私は日本人として自分の歴史に誇りをもっていたいと思います。ただ、日本人にとっては白に見えることが他国の人には黒に見えるという価値観もまた理解したいと思っています。

      フィリピン生活も後半に入り、これからさらに多くのことが学べるよう頑張ります!
      ブログを読んでくださってありがとうございました。

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  2. いい出会いがあって良かったね!

    歴史があるから自分たちはいろいろ考えて行動できたりする。積み重ねてきた歴史とその遺産で自分たちは今生きてるんやけど、一方で歴史があるから自分たちは何も考えずに行動しなくなるよね。戦争の歴史とかまさにそう。その歴史があるだけで自分たちは隣の国(それも歴史的に作られたカテゴリーやけど)のことを嫌って、関わるのを避けて、理解しようともしなくなる。

    でもフィリピンで、こうやって今これまでの歴史が通用しない状況やからこそ、あたらしい関わりができてくるんやろうね。で、これがまた歴史になっていく。きっと二人が作る歴史の先にいる人たちは、二人の歴史の上にまた行動するようになる。

    そうやって考えると、歴史はネガティブじゃなくてすごくポジティブに思えるよね。

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    1. 山本さん
      コメントありがとうございます。
      フィリピンにいると韓国人、中国人、台湾人、フィリピン人に間違われることがしょっちゅうあります。最初は間違われるたびにムッとして「いや、日本人だ」と主張していました。けれど日本を出たら私は単なるアジア人でしかなくて、実は国の違いってそんなたいした違いじゃないのかもと思うようになりました。
      日本人であることに固執していたときはとても狭い世界で日本目線でしか物事を見ていなかったなと痛感しました。

      「あたらしい関わり」ができているか自信はありませんが、私にとっては自分が単なるアジア人だとわかったことがその一歩になっていれば、と思います。
      世界には理解するにはあまりにも大変なほど様々な価値観があって歴史にもいろいろな見方がある、ということを柔軟に受け入れていけるようになりたいです。

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