2014年6月14日土曜日

緊張しいは治らない

中学生の頃、「人間の一生で心臓が脈打つ回数は決まっているんだって」と友達に言われ、私は驚愕した。緊張しいの私の心臓はきっと、人よりも早くにその動きを終えてしまうのではないかと怯えた。

その後、保健の先生にそんなことは嘘だと笑われほっと一安心したものの、8年たった今でも緊張しいは治っていない。昔から、ピアノのコンクールや部活の試合、バイトの面接、ちょっと人前に出るときでさえ緊張しないときがない。いつも、心臓はどくどく脈打ち、声は上ずり、手は震え、顔は赤くなる。

と、ここまでなら誰でも緊張したときに出る症状だと思うが、私はちょっと度が超えているのではないかと思ったのは高校生の時だった。

高校2年生のとき、フェンシング部員だった私は相変わらず試合前、極度の緊張にさらされていた。そしてある試合中、急に腹痛が止まらなくなった。緊張でお腹が痛くなることはあったが、こんなに痛いのは初めてだ。もちろん試合どころではなく、その時は勝ったのか負けたのかも覚えていない。これは何か異常があるに違いない、と帰ってからすぐに病院に行った。

「食中毒か!?はたまた盲腸か!?」
どきどき不安になりながら診察してもらい、レントゲンも撮ってもらったが、「異常は無いです。」
驚く私は「そんなはず無いんですよ。めっちゃ痛かったんですよ」と訴えた。するとお医者さんは、困ったような顔をして言った。

「きっとお腹の筋肉が緊張していたのでしょう」

「!!!!!!」
身体の力が抜けた。お腹の筋肉!お前もか!

結局、治療法もなく気休めのような胃薬だけもらい、とぼとぼと病院を後にした。

それ以来、しょうがない、緊張しいというのも一つの個性だ、と思い込んでなんとか今まで生きてきた。いつか心臓が強くなって何事にも動じない日がくるのだと夢見た。

が、そんな日はやって来ず、今また大きな緊張にさらされている。心臓は早く脈打ち、何も手につかない。お腹もちょっと痛い。明日さえ乗り切ればまた平穏な毎日が戻ってくるはずなのだけど、とりあえず今は落ち着かない時間を過ごしている。

もう、ほんと、さらりとスマートに平然とした顔で何事もこなせるようになる日は来るのだろうか。ハートが強い人間になりたい。切実に。

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