先ほど、大学の授業が忙しくて辞めますとお伝えしましたが、本当は別の理由がございますので書かせていただきます。
私は以前、ホテルのレストランでアルバイトをしておりました。その時はかちっとした制服を着てパンプスで歩き回るのがしんどくてしんどくて、次は疲れないお仕事がいいなと思っておりました。
ですので、電話オペレーターのお仕事はパソコンの前に座っているだけでしたので、身体的にはとても楽でした。そして時給はホテルで働いていたときの1.5倍でした。
なんていいアルバイトなんだろう、最初はそう思いました。
けれど、すぐに高い時給の意味を理解いたしました。
電話、すなわち声だけでコミュニケーションをとることの難しさたるや!
普段、対面でコミュニケーションをとるとき、私は、言葉だけでなく声色、表情、身振り手振りからも情報を受け取ります。言葉はキツくても表情が優しかったら、言葉のキツさは薄まります。
言葉、声色、表情などはそれぞれを補ったり、強調したり、重要なコミュニケーションツールだと考えております。
しかしお電話では、相手の言葉と声色しかわかりません。
お客様の言葉にじっと神経を集中させ、丁寧な言葉で誠意ある対応をする。
このお仕事で求められているのはこういうことで、それに対して高い時給が払われているのだと実感いたしました。ただ私にとっては大変ハードルの高いことでございました。
お受けしたお電話の中にはもちろんクレームもありました。誠心誠意対応しているつもりでしたが、心苦しいお言葉を頂戴するときもあり、そういったときはこっそりトイレで泣いておりました。
いえ、全て私の対応が至らなかったせいでございます。
そしていつの間にか、パソコンの前に座ると常に心臓がどきどきと脈打ちました。
電話をとるのが怖くて仕方ありませんでした。
顔の見えないお客様相手に私は勝手に恐怖し、懇切丁寧な対応を心がけているつもりでございました。けれど丁寧すぎる対応はかえって相手の方に不信感を与えてしまうものなんですね。
お客様に対して私がバリアをはっているような、または盾を構えているような印象与えてしまうのだということも学びました。
ちょっとお恥ずかしい話ですが、アルバイトが終われば私はいつも母に泣きながら電話をかけていました。もちろん守秘義務は守っておりましたので、仕事内容などは話しておりませんが、「辛い辞めたい」とひたすら繰り返しておりました。母をストレスのはけ口にして申し訳なかったなと反省しておりますが、そうでもしないと気持ちが落ち着かないほどに私は弱い人間でございます。
夜、たくさんサラリーマンの方たちが歩いていらっしゃる中に混じって、電話をかけながら泣いている私はひどくみっともない姿だったことでしょう。今でも赤面する思いです。
ある日のことでした。アルバイトに行く直前、喉の痛みで急に声が出なくなりました。
その日はお休みをいただきました。
ぽっかり空いた時間は本を読んだり料理を作ったりしました。
この時間は、自分でも驚くほど本当に楽しかったです。
そして次のバイトの日もまだ声は出ず、再びお休みをいただきました。
急に休んでしまったことには本当にご迷惑をおかけしたと思っております。
けれど、この休みの間、自分にとってアルバイトが大きな心理的負担となっていたことに気がつきました。
もう、辞めようと思いました。
辞める旨を伝える電話をかけた時、少し怒られましたね。
契約期間のルールを守らなかったこと、本当に申し訳なく思っております。
そして心に少し罪悪感が残りました。「たった数か月先の契約満了まで我慢できずに辞めるなんて、私は根性ないなあ」と。
ただ、アルバイトが精神的負担となって日々の生活に不調をきたすのも、学生の私にとっては非常に困ることでございます。そう自分に言い聞かせて納得しているつもりでおります。
今は大学の勉強を第一に、節約生活をしながら夏休みの短期バイトなどで収入を得ようと考えております。
短い間でしたが、お世話になった方々に感謝をこめて。
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