大きな建物の中にいた。私はその中心にあるエレベーターに乗っていた。気になった階があればどこでも降りた。コンビニがある階や、駅、レストラン、照明を落としたおしゃれなビリヤード場などがあった。各フロアは壁が無く、床は延々とどこまでも続いていく。それぞれの階を一通り歩いて満足するとまたエレベーターに戻った。
このエレベーターではいつも誰かに出会う。その人たちはみんな、私が過去に会ったことがある、でも今はもう会わない人たちだった。
このエレベーターではいつも誰かに出会う。その人たちはみんな、私が過去に会ったことがある、でも今はもう会わない人たちだった。
大学の友人がエレベーターに乗ってきた。名前を呼んだ。その人はびっくりした顔で、でもすぐに笑った。なんだかもうちょっと一緒にいたいなと思ったのでプールのある階に行こうと言った。大きなガラスの窓から光が差し込む屋内プールのそばを歩いておしゃべりしながら、この人はなんてきれいに笑うんだろうと思った。「笑った顔がとてもいいね」と言おうと思ったらその人はいつの間にか遥か遠くを歩いていた。背中を追いかけることも出来たけど、私はまたエレベーターに戻った。言えばよかったと後悔した。
エレベーターに乗り込もうとしたら、高校のときの友人が降りてきた。知らない人とおしゃべりしていた。仲がよかったのになんだかうやむやに音信不通になってしまった友人だったので、急いで背中を追いかけた。
「久しぶり!元気?なんだかしばらく連絡とってなかったね」
「あーそうだったね。でもさ、また電話できるよ」
そう会話を交わして、ああこれで音信不通じゃなくなった。また連絡してもいいんだとほっとした。追いかけて良かったと思った。
以前のバイト先の社員さんにも会った。
「短い期間で辞めちゃったからなんだかお店に行きにくいんですよね。私すごくあのお店好きなのに。」
エレベーターに乗り込もうとしたら、高校のときの友人が降りてきた。知らない人とおしゃべりしていた。仲がよかったのになんだかうやむやに音信不通になってしまった友人だったので、急いで背中を追いかけた。
「久しぶり!元気?なんだかしばらく連絡とってなかったね」
「あーそうだったね。でもさ、また電話できるよ」
そう会話を交わして、ああこれで音信不通じゃなくなった。また連絡してもいいんだとほっとした。追いかけて良かったと思った。
以前のバイト先の社員さんにも会った。
「短い期間で辞めちゃったからなんだかお店に行きにくいんですよね。私すごくあのお店好きなのに。」
「まあ確かに行きにくいよね。みんなそういうものだよ。」
何だか安心して、まだちょっと行きにくいけどでも行きたくなったらいつでも行こうと決めた。
ちょっと怖いと思っていたある先輩に出会った。ずけずけモノを言うところが苦手で、エレベーターで乗り合わせて開口一番「太ったね。」と言われた。こういうところが相変わらず苦手だと思った。
先輩はフラメンコの真っ赤なドレスを着ていた。「踊るのですか?」と聞いたら、ちょっと照れて「うん。趣味だから」と言われた。ドレスを翻して降りて行った。その姿はとてもきれいだった。もっと前にこういう一面を知っていたら、怖い先輩という印象は持たなかったんじゃないかなと思った。
何だか安心して、まだちょっと行きにくいけどでも行きたくなったらいつでも行こうと決めた。
ちょっと怖いと思っていたある先輩に出会った。ずけずけモノを言うところが苦手で、エレベーターで乗り合わせて開口一番「太ったね。」と言われた。こういうところが相変わらず苦手だと思った。
先輩はフラメンコの真っ赤なドレスを着ていた。「踊るのですか?」と聞いたら、ちょっと照れて「うん。趣味だから」と言われた。ドレスを翻して降りて行った。その姿はとてもきれいだった。もっと前にこういう一面を知っていたら、怖い先輩という印象は持たなかったんじゃないかなと思った。
ふっと目が覚めた。
しばらく頭がぼんやりしてしまうほど、くっきりした夢だった。もちろん現実では、友人の笑顔をほめることもないだろし、音信不通の相手の連絡先もわからない。ただ、懐かしい人たちに再会できてなんだか満足感でいっぱいだった。
また会えるかもいれないし、会えないかもしれない。そういう人が何人もいる。
人生という建物の中で、偶然エレベーターに乗り合わすように時間を共有する人たち。たくさんの人間がいる中で、人と知り合うというのはそういうことなのだろう。
けれど目的の階は人それぞれ違う。一緒におりて背中を追いかけていくことは出来るけれど、また自分の目的の階に行くためにエレベーターに戻らないといけない。
また次に会える人を楽しみにして。
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