スーツを着たサラリーマンのおじさん、OLのお姉さん、塾帰りのような高校生、同じくバイト帰りのような大学生、部活終わりの中学生など様々な人が乗っていた。
皆一様に、ほっとしたような疲れたような顔をしていた。帰る場所がある安心した表情だった。
みんな一人ひとりに、家族とか彼氏彼女とか子どもとか、その人の帰りを待っている人がどこかにいるのだろうなと思った。もちろん一人暮らしの人もいるのだろうけど、きっと離れていてもその人のことを大事に思っている人がどこかにいるのだ。
その事実になんだか涙が出て、それがもはや嬉しさなのか悲しさなのかどういう感情で泣いているのか自分でもわからず、目の前に立っていた中学生は、ハンカチで目を押さえる私を不安げな表情で見ていた。
情緒不安定か。
泣いてないの、花粉症がひどいのよ、という顔をして電車を降りた。
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