久しぶりに弟に会ったら私のTシャツを着ていてぎょっとした。「返してよ」と言うと「あんたもやろ」と言われた。そう、その時私も弟のパーカーを着ていたのだ。
弟は、これは姉バカでも何でもなく、服のセンスがいいなあといつも不思議だった。音楽のセンスもいい。ピアノがかっこいい曲教えて、などと聞いて弟からおすすめされた曲はだいたい気に入る。
だけど気づいてしまった。弟が特別センスがいいわけじゃなかったのだ。
小さい時から、同じ色に囲まれ、同じ音楽を聴かされ、同じ旅行先に連れて行かれ、当然のことながら同じようなものが好きになったというだけのことだったのだ。育つ環境が同じだとここまで感覚が似るのかとややぞっとする。それほど幼い時の環境の影響力は大きい。
最近、自分の好きなものが自分の育ってきた環境に非常に影響されていると強く思う。色彩や造形など、「ひらめいた!」と思ってもそれはかつて経験していたものだったりする。
産まれた時から育まれて続けてきた自分の感覚を変えたいとは思わない。だけど、たまにはそれをポーンと飛び越えるような発想をしたいと願う。そしていつまでたっても、そんな瞬間は訪れない。
ひたすら綺麗なものを見て、経験して、自分の感覚を養いつづけないといけないのか、と途方に暮れるのだ。
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