ずっと気になってはいたが、勇気が出なくて見られなかった映画だ。
あらすじ
死別した前妻の娘と現在の妻。その折り合いの悪い二人に挟まれながらも、主人公の社本信行は小さな熱帯魚店を営んでいた。波風の立たないよう静かに暮らす小市民的気質の社本。だが、家族の確執に向き合わない彼の態度は、ついに娘の万引きを招く。スーパーでの万引き発覚で窮地に陥る社本だったが、そんな彼を救ったのはスーパー店長と懇意のある村田だった。村田の懇願により店長は万引きを許す。さらに大型熱帯魚店を経営する村田は、娘をバイトとして雇い入れる。その親切さと人の良さそうな男に誘われて、社本と村田夫婦との交流が始まる。しばらくして、利益の大きい高級魚の取引を持ちかけられる社本。それが、村田の悪逆非道な「ビジネス」を知り、同時に引き返せなくなる顛末への引き金となった――(Wikipediaより)
見た直後、しばらく動けなくなった。
園子音が語っていたように、この映画はエンターテイメントだ。ただしとんでもなくブラックな冗談のきついエンターテイメントだ。悪人の過剰なまでの悪人っぷり、弱いもののとてつもない弱さ。過剰なまでの血、肉、裸、そして人の死。後半にかけての急加速する怒涛の展開。
ストーリー、映像、音楽すべてが最後の最後までこれでもかと攻めてくる。
見た後、一週間もその映画のことが頭を離れず、心が重く苦しかった。
そして、落ち着いてきたころ、ふつふつと生命力みたいなものが湧いてきた実感があった。
それはきらきらと希望に溢れたものではなく、「死ぬものか、生きてやる」みたいな泥臭くて、格好悪いものだ。何とかして生にしがみつこうとするみっともないものだ。
最後の最後に、主人公の社本が娘に向かって言う。
「生きたいか?生きるってのはなあ、痛いんだよ!」
映画を見て、ここまで気持ちを揺さぶられたことはない。
生きることは苦しい。つらい。それでも私は生きてやる。
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