一人っ子の期間が長かったから、弟が生まれたときは嬉しくて仕方なかった。毎日一緒に遊んで、生まれたときから私という遊び相手がいて弟はいいなーなんて思っていた。
弟が2歳ぐらいの頃、言葉がわかるようになってくると私は嘘をついた。「君は大きくなるとお猿になるんだよ」と言い続けていた。ある日、「僕は本当にお猿さんになるの?」と真剣な目で弟に聞かれたときの罪悪感はもう何年もたった今でも忘れられない。当の弟はそんなことすっかり忘れているのだろうけど。
月日は流れ、そんな彼も今日晴れて大学生となった。もう姉のくだらない嘘にも騙されてくれない。立派にジャケットなんか着ている弟は、なんだか見たことのない知らない人のようだった。
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