ダイエット、というほどじゃないのだけれど、甘い飲み物は太る一番の原因だと聞いて以来ジュースは極力飲まないようにしている。だけどどうしても甘いものが飲みたくなったときは、ミニッツメイドのピンクグレープフルーツジュースを買う。フルーツなら何となく健康にも良さそうという理由もあるのだが、これを飲むと昔の懐かしい思い出がよみがえるのだ。
高校1年生の時、県の交換留学でアメリカのミシガン州の高校に1か月間通った。初めての海外で、英語もまともに話せない。何もかもわからない。
ある日、どうしても喉が渇いてしょうがなかったとき、カフェテリアの自動販売機へ飲み物を買いに行った。しかしどうやって買うのかわからない。コインで買うのか紙幣で買うのか、ボタンはどこを押すのか何も分からず、一人自動販売機の前で立ち尽くしていた。そこに一人、男の人が現れた。その人は同じクラスで、いつも全身黒づくめの格好をしていてファンキーな見た目で、一度も話したことがないその人を私は勝手にとても怖い人だと思っていた。
「何を買いたいの」と聞かれた。まさか話しかけられると思っていなかった私は焦って真っ先に目に入ったピンク色のジュースが入ったペットボトルを指さした。「こ、これが買いたい」
その人は1ドル札を自分の財布から出して、そのジュースを買ってくれた。にっこり笑って手渡してくれた。何だか心臓がドキドキして、「セ、センキュー」と言った。「お金は払う」と言おうとしたがその人はさっさと向こうに行ってしまった。
仕方なくごちそうになることにして一口飲んだそのジュースは、甘酸っぱくてそれがピンクグレープフルーツなのだとわかった。てっきりアメリカっぽい毒々しく着色されたスポーツドリンクのようなものだと思ったのだ。
心臓のドキドキとジュースの甘酸っぱさが相まって「これは恋か!?」と思った。結局その人と話したのはそれっきりだった。
今でもピンクグレープフルーツジュースを飲むと、この出来事を思い出す。その時のカフェテラスのざわめき、ハイテクマシーンのような自動販売機、そして黒ずくめの男の子がにっこり笑いかけてくれたことを。
私は、15歳の自分に戻り、いつもちょっぴり赤面する。
0 件のコメント:
コメントを投稿