2014年5月8日木曜日

見倉の吊り橋の恐怖



ゴールデンウィークに新潟県の見倉橋に行ってきた。

「ゆれる」というオダギリジョー、香川照之、真木よう子が出ている映画の舞台となった橋だ。
高校生のとき映画館で見て衝撃を受け、DVDで借りて見直すぐらい好きな映画だ。もちろんここへ行く前にも見た。

「ゆれる」の中では、この橋から真木よう子が転落死する。その事件をめぐって兄弟である香川照之とオダギリジョーの揺れ動く心理を描いた物語だ。

この映画が好きすぎるあまり追体験をしたくなり、実際に行くことにした。

もちろん実際の橋は転落などしないようにロープがしっかりと張ってあったが、やはり吊り橋自体はゆらゆらと揺れた。下の川がごうごうと音を立てているのが余計に、落ちたらどうしようという恐怖感を煽る。



高いところは平気だけど、この橋の上ではやはり怖かった。他に人は誰もおらず、シーンと静まり返っており、時々ウグイスのさえずりが聞こえた。


どうやって固定されているんだろうと思ったけれど、引っ張っているロープの先は土の中に埋められていてよくわからなかった。1度に7人までしか渡れないそうで、ちゃんと計算されているんだな、と思った。昔は地元の小学生たちの通学路だったそうで、こんなアクロバティックな通学を毎日していてすごい!と驚いた。私は往復するだけでもうヘロヘロになったよ。怖くて。

実際に渡ってみて、この橋の上では人間は圧倒的に弱者だと感じた。例えば雄大な自然を私は美しいと思って見る。けれど、ここでは山と川の中にひっそりと弱々しく揺れる橋があるのみだ。ただただ山の大きさに圧倒され、川の流れの激しさに恐怖する。橋は、「渡る」という目的のみを果たしている。ただ自然を邪魔しないように、ひっそりと。そこに建築的な装飾など何一つ無く、それは最小限の材料で、質素で、でも究極に美しかった。

人間は自然をコントロール出来ない、と思う。自然の中に住まわせてもらって、生かしてもらっているのだなあ、とおおげさな感想を抱いて帰路に着いた。

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