2014年5月16日金曜日

自己啓発本が必要なとき

高校3年生の時だった。

当時、自己啓発本にハマっていた。「3週間で自分を変える方法」だとか「出来る人はここが違う」みたいなタイトルの本を、やたら読んでいた時期があった。なけなしのお小遣いをはたいて買い、それさえ読めば自分を変えられると思い込んでいたその時のことは、今思い出しても本当に嫌になる。思えば、本来なら受験勉強をしなければいけない時期に勉強に全然身が入らず、その現状をごまかすために自己啓発本に逃げていただけなのだと、今はわかる。

自己啓発本を読んでも人間はそんなに簡単に変われないのだな、と知ったのは浪人生活を経て2度目の受験も失敗した時だった。新しい大学生活が始まる前に、当時買い集めた自己啓発本を全て古本屋に持って行った。売り払うとともに、本にすがっていた自分も一緒に葬りたかった。

だからそれ以来、自己啓発本はずっと苦手だった。それを熱心に読んでいる人を心のどこかで冷ややかな目で見ていた。

だけど、今は思う。人にはそういう本が必要な時があるのだ、と。

大人になるということは自分で自分を肯定し続けることだと思う。子どもの頃のように誰も褒めてくれない。失敗したら怒られる。生きることに絶望したくなることはしょっちゅうある。

だから何か外からの力が必要となる。自分を少しでも良くする方法を見つけたくなる。そんな時、自己啓発本は、背中をえいっと押してくれる力となっているのかもしれない。結局何も変えられなくても、本を読んでいるときの「よし、これから自分は変わるぞ」という気持ちは決して嘘ではない。たとえそれがほんの一瞬のことであっても。

その小さな希望を積み重ねながら、今日も自分を生かすことができた、と何かに感謝するのだ。

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